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短大生になったばかりの奈緒です。 恋愛のことしか頭にないのに、「彼氏いない歴=年齢」の私。 恋愛のことなんて語れないのに、語ります! のんびりしつつ、恥さらしつつ、好きにやってます。 「おかしいよ!」と思ったら、ツッコんでやって下さいね~(●´∇`●)ノ
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過去に囚われたまま、未来に進めるのか。

それは多分、ノー。

 

しょうもない過去なら良いが、しょうもなくても自分には痛い過去なら、尚更。

 

私はよく夢に見る。

中学校のテニスコートでテニスをする夢。

相手は、殺したいほど憎んだ硬式テニス部の男子。

先輩後輩関係なく、私をいじめた奴ら。それは全員男子。

誰も助けてくれなかった。いや、誰にも助けを求めなかった。

――だれか、タスケテ――

ずっと心の中で叫んでたけど、その『誰か』は見つからなかった。

別に友達がいなかった訳じゃない。でも、この痛みは誰にも分からないと思った。

中学生で、人の痛みを分かる人間がいるのか。答えはやっぱりノーだ。

少なくとも、その当時はそう思っていたから。

親には言った。先生に言うと豪語しているのを、私はいつも止めた。

というか、後輩の女の子たちが顧問に言ったことがある。

顧問は「ああ、そう」って言っただけだった。そういう女だ。あの顧問は。

その子たちは硬式テニス部の顧問だけでなく、

いつも同じコートで練習している、軟式テニス部の顧問にもかけあってくれた。

その先生は優しくて評判も良い先生。(先生は、母と仲が良いので、これらの話は母を通じて知った話だ)

先生もうちの顧問に言ってくれた。だが、答えは「ああ、そう」

彼女は、人の痛みも屈辱も知らないそんな人間だった。

後輩の女の子たちは良い子だった。今なら、あの頃以上に良い関係が築けるんだろうと思う。

あの頃は、心に余裕がなかったから。冷たく当たることはなかったが、優しくもしてあげられなかった。

 

高校は中の上のレベルに入った。ギリギリ進学校というレベル程度だ。

そこで、私はガラリと変わった。人の優しさを、これでもかというほど見せられた。

一年目が終わった感想といえば、「みんな優しい、良い子。男子だって凄く優しい」だった。

軽く男性恐怖症だった私を、見事に変えた。

あいつらは何だったんだ、今まで見てきた男子は何だったんだ?

もう、今まで見てきた同学年の男子という男子が、屑にしか見えなかった。

みんな優しすぎて、やたらときめいてしまった。

驚くことに好きな人までできた。

本気の恋というものが今なら分かるくらいに。

 

一生ものの友達もできた。

彼女たちになら、いじめられた私の暗闇を曝け出せた。

あまりに曝け出しすぎて、後悔した子もいたが……。

その子は、私の過去にただ「辛かったんだねぇ…」というだけ。

そのとき、私自身がとてつもない不幸の元に生まれた人間に思えた。

なんでもないひとことなのに、惨い。あまりにも惨すぎる。

良い子ではあったが、痛みも何も分かっていない子。それは一目瞭然だった。

 

中心になっていじめてた奴。

いつもよく行くTSUTAYAの前で会った。

久しぶりに見たそいつは、あの頃の性格が、顔に表れているかのようだった。

人の顔をどうこう言ってはいけないことを、私は身を持って知っているけれど、

奴はあの頃のまま。いや、それ以上に汚れた心を持っているんだろうと直感した。

髪はボサボサ。顔には、隠し切れない心の醜さが表れていた。

一瞬だけしか見てなかったけれど、私はそいつの現状を知った。

 

あの頃とは違う、私の姿にそいつは驚いていた。

あの頃つけていた眼鏡をコンタクトに代えた。ただそれだけのことなのに。

普通の女子高生の格好で、普通に恋をして、明らかに奴より幸せそうな姿に驚いたんだろう。

お互い驚愕の表情をしていたが、一瞬でこっちから目をそらしてやった。

優越感を感じた。一方で、哀れにも思った。

誰かに殺したいほど憎まれる人間。そうはいないだろう。

あいつの心ないひとことで傷つく犠牲者が、これ以上増えないことを祈りたい。

あの様子じゃあ、多分、その祈りは叶えられないけれど。

 

いじめなんてする人間は、そのまま行けば、歪んだ道を歩むことになるんだろう。

一方いじめられた人間は、人の傷みを知っているから、明るい日の光を浴びれるんだ。

だけど、一度傷みを感じたら、その傷みと同時に過去に引きずられてしまう。

私は確かに前進してはいるけれど、未だ一部分は過去に囚われたまま。

いじめた男たちを見る度に、こうして憎しみを思い出す。

人を憎めば、それだけの報復が訪れる。憎んだだけ、嫌な人間になる。

 

私は過去に囚われたまま、未来を夢見ている。

人を殺したいほど憎んでしまった私の罪は、過去に囚われるという罰となって返ってきている。

本当は誰も憎みたくない。傷みを知らないような顔して、笑っていたい。

だけど、私をいじめたあいつらを、愛せる日なんて永遠に来ない。許すことはできない。

私の中で人間は、愛すべき人と、憎むべき人に分けられている。

憎むべき人間は、私に惜しみない暴言を送った『あいつら』だけ。

基本的に、私は知り合った人には愛される方だと思う。

特に、友達には愛し愛されたし、この憎しみを癒しても貰った。

 

憎しみは私の成長過程の中で薄れつつもある。が、消えることはない。

あの悪夢のような屈辱の日々は、永遠に私の心の奥底に救っている。

生涯、私はあいつらを憎むだろう。

また、テニスコートでボールを打ち返せない夢を見るだろう。

どうしようもない憎悪に魘される日は数え切れないほどあるだろう。

でも、夢見ている。

この憎しみがやがて消えるその日を。

あるとしても、それは遠い。

どうしようもなく。

今の私には、遠すぎる未来。

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